出自に関する調査は厳しく禁止
久留米で探偵として受けた、忘れられない相談
ある日、久留米の探偵事務所に、若い女性から涙声での問い合わせがありました。
声の印象から、20代前半ほどの方だったと記憶しています。
彼女の相談内容は、私にとっても非常に考えさせられるものでした。
「自分が被差別部落の出身なのか調べてほしい」
「もし違うなら、それを証明できる書類を出してもらえませんか?」
しかし、探偵業法では出自や身分に関する調査は明確に禁止されています。
たとえ本人からの依頼であっても、調査を行うことはできません。
また、そのような内容を証明する公的な書類自体も存在せず、
探偵が発行できるものではありません。
彼女がそこまで追い詰められていた理由
詳しく話を聞くと、彼女は関東在住の交際相手と婚約の挨拶をした際、
相手の両親から次のような言葉を投げかけられたそうです。
- 「久留米市出身のあなたと息子を結婚させることはできない」
- 「結婚したいなら、出自に問題がない証明を出せ」
彼女は幼い頃に両親を事故で亡くし、祖母に育てられてきたため、
自分の家系やルーツを詳しく知る機会がありませんでした。
「どうすればいいのか分からない」
そう言って泣き崩れる彼女の姿が、今も忘れられません。
探偵として感じた、差別意識が残る家庭の問題点
現代においても、こうした差別的な考え方を当然のように口にする家庭があることに、
正直なところ強い違和感を覚えました。
また、その場で彼女を守る行動を取れなかった交際相手にも、
大きな問題があると感じました。
私は彼女に、次のように伝えました。
「調査も証明書も、探偵として法律上できることではありません。
ただ、一つだけ確かなことがあります。
その価値観を持つ家庭に、無理に入る必要はないということです。」
すると彼女は涙を拭き、少しだけ笑いながら
「たしかに、そうですね」と答えてくれました。
人を傷つける家庭に、無理に身を置く必要はない
差別的な考え方が残る家庭に入ることは、
本人だけでなく将来の家族にも大きな影響を与えます。
久留米で探偵として活動していると、
調査ができない相談を受けることもあります。
しかし、そのような場合でも
「これ以上、その人の人生が傷つかない選択をすること」
が何よりも大切だと感じています。
不幸になる未来がはっきり見えているのであれば、
自ら距離を取る、関係を断つという選択も、
決して間違いではありません。
